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キユーピーアヲハタニュース

2011/1/12 No.8

★学会発表

<タマゴ成分の機能研究>
卵黄レシチンが病態時における
脂質の吸収を促進することがわかりました
1月15日(土) 第14回日本病態栄養学会(パシフィコ横浜)で発表
 キユーピーは、卵に含まれる機能性素材の活用について研究を進めています。乳化剤として卵黄レシチンを配合した流動食には、摂取者の下痢が起こりにくくなる傾向が見受けられます。卵黄レシチンは人工胃液のような強い酸性条件下でも乳化状態が比較的安定していることから、その乳化安定性が下痢を起こりにくくする可能性が考えられています。
 そこで、流動食に配合する乳化剤の種類が脂質の吸収に及ぼす影響について、ラットを用いた試験を行いました。乳化剤として卵黄レシチン、大豆レシチン、合成乳化剤(※1)をそれぞれ配合した乳化液を、流動食に近い乳化状態になるように調製し、健常時と胆汁(※2)分泌抑制時の脂質吸収性を確認しました。
 その結果、卵黄レシチンを配合した乳化液のみ、胆汁分泌抑制時でも健常時と変わらない脂質吸収量を示しました。
 この結果から、卵黄レシチンを配合した流動食は、弱くなった脂質吸収力を助けることで、脂肪性の下痢を発生しにくくする可能性が示唆されました。
 本研究内容は1月15〜16日に開催される第14回日本病態栄養学会(会場:パシフィコ横浜/神奈川県横浜市)で発表します。

※1 合成乳化剤:グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル
※2 胆汁:肝臓近くの胆嚢から分泌される消化液で、脂質を乳化し消化吸収を補助する役割を果たす。
【研究内容の概略】
(方法)乳化剤として卵黄レシチン、大豆レシチン、合成乳化剤を配合した脂質20%を含む乳化液を調製した。以下に示すスケジュールで、それぞれの乳化液を体重1kgあたり10gずつラットに経口投与し、投与2、4、6、8時間後に尾採血し、血清トリグリセリドの量を測定した。


(結果)健常時および胆汁分泌抑制時それぞれにおける血清トリグリセリド量の経時変化、および累積のトリグリセリド吸収量は、以下のグラフの通りになった。
(【結果1】に血清トリグリセリドの経時変化、【結果2】に累積のトリグリセリド吸収量を示す)


 大豆レシチンまたは合成乳化剤を配合した乳化液は、健常時に比べ胆汁分泌抑制時に脂質吸収量が減少したのに対し、卵黄レシチンを配合した乳化液では健常時と変わらない脂質吸収量を示した。卵黄レシチンが弱くなった脂質吸収力を高めることが示唆された。
(考察) 一般に流動食を摂取すると下痢が起こりやすくなるが、卵黄レシチンを配合した流動食では、下痢が起こりにくくなる傾向が認められている。そのメカニズムとして、卵黄レシチンが以下の仮説図のように脂質吸収を促進することで、流動食摂取者に多い脂肪性の下痢を起こりにくくすることが推察される。