研究・調査

16/09/08

No.48

<マヨネーズの新しい“裏ワザ”が登場>

キユーピー マヨネーズを入れると、プリンの「なめらかさ」と「卵の風味」が増します

8月29日に、日本調理科学会で発表しました

             

 キユーピーでは、マヨネーズの用途拡大のため、マヨネーズの性質をいかした「裏ワザレシピ」の提案を積極的に行っています。
 今回、マヨネーズを入れると「プリンがなめらかになり、卵の風味が増す」ことを確認し、その仕組みについて、日本調理科学会平成28年度大会(会場:名古屋学芸大学 愛知県日進市)で発表しました。キユーピーはこれまでにマヨネーズを調理に使うことで「ハンバーグがジューシーに」「チャーハンがパラッと」「ホットケーキがふんわりサクッと」「肉料理がやわらかジューシーに」仕上がることや、その仕組みについて研究し、学会等で発表してきました。プリンの裏ワザを含めて、キユーピー マヨネーズの「裏ワザレシピ」は全部で8つになります。

             

 研究結果からは、プリン液にマヨネーズを4%添加すると「なめらかさ」と「卵感」のバランスが良いプリンを作れることが分かりました。プリンは、卵を多く配合すると卵の風味が楽しめる半面、食感が硬くなります。マヨネーズを適量加えることで、やわらかい食感を保ちながらも、卵の風味が楽しめるプリンを作ることができます。
 また、プリンがやわらかくなる仕組みの研究では、原料の植物油や酢が影響していることが分かりました。また、マヨネーズの乳化粒子がたんぱく質の構造に入り込み、結合を緩やかにすることで、食感が変化していると示唆されました。
 今後もマヨネーズの新しい可能性を探るとともに、食卓を楽しくし、生活に役立つ情報を届けていきます。

■キユーピー マヨネーズ「裏ワザレシピ」URL
http://www.kewpie.co.jp/mayokitchen/urawaza/index.html

■研究概要

プリンの配合と調理

試験1.マヨネーズ添加によるプリンの食感および食味の改善効果

1-1.最適添加量の検討(機器測定・官能評価)

<評価方法>
機器測定(破断応力※1)
 使用機器:Texture Analyzer TA.XT.Express(Stable Micro Systems社)
 検定方法:Tukey HSD検定
官能評価
 項目:なめらかさ、マヨネーズの風味、総合評価※2(n=5)

※1 : プリンに負荷をかけて形をくずすのに必要な力のこと。値が小さいほど少ない力でくずれることから「やわらかさ」の指標として用いた。

※2 : 最も好ましいものを4点、最も好ましくないものを1点とした。

             

図1:マヨネーズ(MS)の添加濃度とプリンのやわらかさの関係

<結果>
マヨネーズを添加することで、有意に破断応力が小さくなった。また、添加量の増加に伴い、破断応力が小さくなった(図1)。

官能評価から、最適なマヨネーズの添加量は4%と判断された(表1)。

表1: マヨネーズ(MS)の添加濃度によるなめらかさ、風味の比較(官能評価)

以降の試験では、マヨネーズを4%添加したものについて評価した。

1-2.プリンの食感、食味の評価(官能評価)

             

図2: MS4%添加による「食感」および「食味」の変化(官能評価)

<評価方法>
官能評価 それぞれ7段階評価とした(n=20)
 項  目:やわらかさ、なめらかさ、卵感、おいしさ
 検定方法:t検定

<結果>
マヨネーズを添加することでやわらかさ、なめらかさが高まり、また、卵の風味とおいしさが強く感じられることが示された(図2)。

1-3.卵の量とやわらかさの関係

             

図3: MS添加、卵増量のプリンのやわらかさへの影響

<評価方法>
機器測定(破断応力)
 使用機器、検定方法は1-1と同じ

<結果>
マヨネーズ添加で破断応力は小さくなった。また、卵の量を多くすると破断応力が大きくなり、硬くなることが分かった(図3)。

 試験1の結果から、プリン液にキユーピー マヨネーズを4%程度添加することで、卵の量を単純に増やすだけでは難しい、やわらかさと卵の風味が増したプリンを作れることが明らかになりました。

試験2.プリンがやわらかくなる仕組みの検証

2-1.植物油・酢の添加による効果

             

図4: 酢および油添加のプリンのやわらかさへの影響

<評価方法>
機器測定(破断応力)
 マヨネーズ4%添加プリンと同量の油、酢、油と酢をそれぞれプリン液に添加した。
 使用機器、検定方法は試験1-1と同じ。

<結果>
油や酢を加えると、破断応力が小さくなった(図4)。

2-2.電子顕微鏡による構造解析

<方法>
電子顕微鏡による観察:倍率5000倍

<結果>
マヨネーズを添加したプリンでは、マヨネーズの乳化粒子がたんぱく質の構造の中に入り込んでいることが確認された(写真の赤で囲んだ部分)。また、対照と比べて、たんぱく質の結合が緩やかになっていることが確認された(図5)。

対照(マヨネーズ添加なし)

MS4%添加

図5: プリンの電子顕微鏡写真

 試験2の結果から、キユーピー マヨネーズの原料である植物油や酢がプリンの食感に影響していることが明らかになりました。マヨネーズの乳化粒子がプリンのたんぱく質の構造に入り込み、加熱によるたんぱく質の結合を緩やかにすることで、プリンを「なめらか」に仕上げることが示唆されました。

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