研究・調査

23/06/14

No.44

食によるアプローチで肥満・がん予防の重要性に迫る

論文『食事、肥満、がんとマイクロRNAの関係性』が国際学術誌Seminars in Cancer Biologyに掲載されます

本誌掲載に先立ち、オンラインで公開

 キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:髙宮 満、以下キユーピー)は、食生活の提案でがん発症リスクを低減させることを目的に、2013年から東京医科大学の落谷孝広教授(当時、国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野 分野長)と共同研究を進めています。この度、論文『食事、肥満、がんとマイクロRNAの関係性』が、国際学術誌Seminars in Cancer Biology※18月号に掲載されることが決定し、それに先立ち5月にオンラインで公開※2されました。

※1 Seminars in Cancer Biology:分子腫瘍学分野の進展に関して研究者に最新の情報を提供することを目指す国際学術誌。がん化に導く遺伝的・分子的な要因から、治療応用の分子基盤まで幅広い領域をカバーし、がん生物学者の興味の対象となる重要なトピックを取り扱っている。さまざまな視点を含んだ信頼できるレビュー論文のみを掲載している。Impact Factor:17.012/5-Year Impact Factor:15.734(2023年6月9日時点)

※2 Kurataka Otsuka, Hiroshi Nishiyama, Daisuke Kuriki, Naoki Kawada, Takahiro Ochiya (2023). Connecting the dots in the associations between diet, obesity, cancer, and microRNAs

がん発症のリスク増と関連する「肥満」。世界人口の約半数が、過体重もしくは肥満になる時代へ

 肥満の有病率は、世界中でパンデミックレベルに達していると言われています。世界保健機関(WHO)の報告によると、2016年時点で、世界中で25億人を超える18歳以上の成人が過体重(BMI値25.0~29.9)または肥満(BMI値30.0~39.9)の状態にあり(成人の39%が過体重、13%が肥満)、さらに今年3月に発表された世界肥満連合(WOF)の報告によれば、対策を講じなければ、2035年までに世界人口の約半数が過体重・肥満の状態に分類されると推定しています。
 肥満は、生活の質の低下をもたらすだけでなく、がんを含む生活習慣病の主要な危険因子となり、医療費の増加にもつながります。WCRF/AICR※3の報告では、肥満は食道(腺がん)、子宮体部、膵臓、肝臓、大腸、乳房(閉経後)、および腎臓のがんリスク増加と関連していると指摘しています。
 これまでの研究で、健康な人ががんを発症する要因として、食事の質やパターンなどの生活習慣が密接に関係していることが分かっています。さらにそれらは、がんのリスクを高める「肥満」の要因ともなり得ることから、がん発症のリスク要因をさらに増やすことにもつながります(下図参照)。

※3 WCRF/AICR: World Cancer Research Fund and American Institute for Cancer Research

「食」によるアプローチで、「肥満」や「がん」の予防に貢献したい。「マイクロRNA」を指標とする研究をさらに加速

 「肥満」を予防することは、「がん」を予防する有効な手段の一つと言えます。キユーピーは、「マイクロRNA※4」を指標として、食生活の改善でがん発症リスクの低減を目指す研究を10年前から進めてきました。この度、「食事」「がん」「肥満」との関係性をつなぐメカニズムとして「マイクロRNA」の可能性に言及する論文が、がん分野の重要なトピックを取り扱う国際学術誌Seminars in Cancer Biology 8月号に掲載されることが決まりました(本誌掲載に先立ち、5月にオンラインで公開)。なお、論文に記載の内容は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究テーマ「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業※5」とも関連しています。
 キユーピーは“食生活メーカー”として、人々の健康的な食生活と社会課題の解決を目指して、「肥満」や「がん」のリスクを低減させる「食」に関する研究を、より一層加速させていきます。

※4 マイクロRNAとは、遺伝子発現を抑制する機能を持つ短いRNAであり、各種疾病の抑制や促進などの生命現象に深く関わっていると考えられている。

※5 キユーピーアヲハタニュース2020年 No.64参照

図解:肥満とがんの危険因子

がんの発生は、遺伝的要因だけでなく、たばこ、食事、運動不足、肥満、老化、ストレス、環境汚染などといった社会的・環境的な要因が大きく関わっている。この図では、マイクロRNAを含む後天的な遺伝子発現制御の存在が、「食事」「肥満」「がん」と関連する可能性を示した。

CONTENTS

Connecting the dots in the associations between diet, obesity, cancer, and microRNAs
『食事、肥満、がんとマイクロRNAの関係性』

  1. Introduction(導入)
  2. Diet and obesity(食事と肥満)
  3. Diet and cancer(食事とがん)
  4. Obesity and cancer(肥満とがん)
  5. miRNAs and cancer(マイクロRNAとがん)
  6. Obesity-associated intracellular and extracellular miRNAs(肥満に関連する細胞内および細胞外マイクロRNA)
  7. Dietary patterns and miRNAs(食事パターンとマイクロRNA)
  8. Concluding remarks(結論)

印刷時には、PDFデータをご利用ください。

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