研究・調査

22/06/28

No.58

7月11日はUDF(ユニバーサルデザインフード)の日

「介護にまつわる意識調査」結果報告

20年目の「UDF」、認知率約4割で“イメージのしにくさ”に課題やわらかさ配慮食品の普及に向け、おいしさのマイナスイメージ払拭を

 キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:髙宮 満、以下キユーピー)は、7月11日の「UDF(ユニバーサルデザインフード)※1の日※2」に向けて「介護にまつわる意識調査」の結果を公表します。

 本調査は、在宅における介護の実態を調査・分析し、介護の不安解消や課題解決に向けた提案につなげることを目的としています。2017年にスタートし、今回で7回目となります。

 2002年に日本介護食品協議会が設立し、「UDF」の名称やロゴマークが決定して今年で20年目を迎えます。超高齢社会を突き進む日本において、UDFをはじめ“やわらかさに配慮した食品”の重要性はますます高まっています。そこで今回は、やわらかさに配慮した食品の「認知とイメージ」について調査を行いました。

<サマリー>

  • 20年目の「UDF」、認知率は約4割。“イメージのしにくさ”に課題
  • やわらかさに配慮した食品、普及に向けて「おいしさ」のマイナスイメージ払拭を
  • ネットでの情報発信や販売ルートの拡充でさらなる普及に期待

■調査方法の概要

調査手法:アンケート調査(WEB回答)
調査期間:2022年4月6日(水)~5月19日(木)
調査対象:キユーピー「やさしい献立」キャンペーンにご応募いただいた10代から80代以上までの全国の男女計1,264人

※1 UDF(ユニバーサルデザインフード):日常の食事から介護食まで幅広く使える、食べやすさに配慮した食品のこと。かむ力や飲み込む力に応じた4区分(容易にかめる・歯ぐきでつぶせる・舌でつぶせる・かまなくてよい)と、「とろみ調整」で構成(日本介護食品協議会が定めた自主規格)。

※2 UDFの日:2003年7月11日に「UDF(ユニバーサルデザインフード)」の名称と「UDFロゴマーク」が商標登録を受けたことにちなんで、7月11日を「UDFの日」に制定。

■調査結果の概要

20年目の「UDF」、認知率は約4割。“イメージのしにくさ”に課題

 やわらかさに配慮した食品である「介護食」「やわらか食」「UDF」「スマイルケア食※3」の4つの言葉(名称)について知っているか尋ねたところ、「介護食」を「知っていて、内容も理解している」「言葉は聞いたことがある」と答えた人は、合わせて95%以上と高い認知率を示しました。
 一方、「UDF」は「今回初めて知った」が約6割、「スマイルケア食」では約7割と、「介護食」や「やわらか食」に比べて認知の低さが際立つ結果となりました。「内容も理解している」はどちらも1割前後と低く、“誰のためのどんな商品”であるのか、名称からイメージしにくいものと推察されます。

※3 スマイルケア食:農林水産省が「介護食品」の範囲を整備した枠組み。健康維持上栄養補給が必要な人向けの食品に「青」マーク、噛むことが難しい人向けの食品に「黄」マーク、飲み込むことが難しい人向けの食品に「赤」マークを表示する。

(N=1,264、グラフ上の数字は回答数(単位:人))

やわらかさに配慮した食品、普及に向けて「おいしさ」のマイナスイメージ払拭を

 「介護食」「やわらか食」「UDF」「スマイルケア食」の4つの言葉(名称)について当てはまるイメージを尋ねたところ(複数回答可)、「介護食」と「やわらか食」は、「やわらかい」「高齢者向け」のイメージが強いことが分かりました。
 さらに「介護食」は、「栄養バランスがよさそう」というポジティブなイメージが強い反面、「おいしくなさそう」というマイナスイメージも他の3つに比べて高いことが示されました。一方、4つの言葉に共通して「おいしそう」と答えた人が少なかったことから、今後やわらかさに配慮した食品のさらなる普及には「おいしさ」に対するマイナスイメージの払拭が必要になりそうです。
 「UDF」と「スマイルケア食」については「イメージがわかない」が最も多く、前述した「名称からのイメージのしにくさ」を裏付ける形となりました。

(N=1,264)

ネットでの情報発信や販売ルートの拡充でさらなる普及に期待

 市販のやわらかさに配慮した食品を買ったことがある人に、初めて利用したきっかけを尋ねたところ(複数回答可)、「ネットで目にして興味」が最も多い結果となりました。本調査がWEB調査であることも一因と考えられますが、近年「食べやすさに配慮した食事」を準備する人の間でもEC(電子商取引)利用が増加しており※4利用者の年齢層が高いカテゴリーでありながらも情報収集手段(または接触機会)として「ネット」が増えていると推察されます。
 2番目に多いきっかけは「歯の治療や矯正等でやわらかいものしか食べられなかった」でした。前述のとおり「おいしい」イメージが少ない中で、歯の治療などで必要に迫られたことが、利用に踏み切るきっかけになっていると考えられます。
 これらのことから、味作りのこだわりや利用場面などをネット上で積極的に発信したり、EC販売ルートを拡充したりすることで、やわらかさに配慮した食品の普及が今後さらに進む可能性があると考えられます。

(N=386)

≪まとめ ―調査結果から―≫
 「UDF」ができて20年目の今年、「介護食」の認知率が95%を超えたのに対し、「UDF」の認知率は約4割という結果でした。「UDF」は、「介護食」という言葉のイメージが高齢者の咀嚼・嚥下障害のみを対象とする印象があるとして、年齢や障害のあるなしに関わらず、普段の食事から介護食まで多くの人が利用できるようにと、日本介護食品協議会が命名しました。本調査でも「高齢者向け」のイメージが強い「介護食」に対し、「UDF」は「高齢者向け」のイメージはあまりないことが確認できました。一方で、「UDF」は“誰のためのどんな商品”であるかが具体的なイメージとして伝わりにくいことも明らかになりました。
 比較的高い年齢層が利用する“やわらかさに配慮した食品”も、近年ではネットで購入したり、情報を集めたりする場面が増えています。今後、ネットでの積極的な情報発信やコミュニケーションがさらなる普及に向けた足掛かりとなりそうです。

 キユーピーは、市販用介護食「やさしい献立」の公式サイトを2021年4月に刷新しました※5。新しいサイトでは、商品のこだわりはもちろん、専門家からのアドバイスやお悩み座談会、医療・介護関係者向けのコンテンツなど、介護にまつわるお役立ち情報を充実させ、一般の方から専門家まで介護に関わるさまざまな人が広く利用できるようにしました。
 キユーピーは、介護の環境が多様化していく中でも、介護する人・介護される人に寄り添った提案を今後も続けていきます。


印刷時には、PDFデータをご利用ください。

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